2013年5月25日土曜日

釧路新聞「巷論」へ寄稿しました。

題目「弟子屈らしい自然体験」 ・・・視覚障がい者向けツアーを企画

 カヌーの水切音を聞き、熊やエゾ鹿の剥製に触ってその大きさに驚き、森の中では風の違いを感じ、地底から響いてくる蒸気音や硫黄の匂いに自然の力を感じる。視覚に障がいを持った観光客が弟子屈で過ごされると一応に高い評価を受けているのが弟子屈ならではの自然体験メニューである。その場所は釧路川、エコミュージアムセンター、赤エゾマツの森、硫黄山であり、いずれも当地を代表する観光スポット。そこは視覚障がい者にとっても自然と触れ合える貴重な場所なのだ。

「そんなに喜んでもらえるならばツアーを企画しよう」と思いたったのが3年前。地元の旅行会社「㈱ツーリズムてしかが」と協同で視覚障がい者向けハートフルツアーを企画し販売を開始、1ヶ月が過ぎた。
するとすぐに反応が寄せられ、毎日新聞社発行の「点字毎日」に続いて(社福)日本盲人会連合の「声のひろば5月号」に紹介され、先日は(社福)日本点字図書館に行き収録を行った。「このひとときを、この人と」と題して紹介され、6月上旬には購読者に配信されるとのことだ。
篤志家の皆さんにより運営されてます。
このように注目される理由を探ると「都会の情報は入手し易いが、地方からの情報はほとんどない。多方面からの情報を皆知りたがっている」とのようである。 

誰でもが来て楽しいユニバーサルデザインの観光地づくりに取り組んでいるえこまち推進協議会UD部会(通称:UDプラザ)では、かねてから旅のサポート体制の準備に取り組んできた。機会を捉えては車椅子の移動をサポートしたり、入浴介助を行ったり、車いすトイレマップを作成したり・・。
あるとき視覚障がいの若い女性へのサポートを行った時のこと。トイレに案内して、ハット気がついた。「私は男、女性のトイレに一緒に入る訳にはいかない」。
その雰囲気を察してか「大丈夫ヨ、場所さえ判れば1人で大丈夫!トイレの形なんか似たり寄ったりでしょ」とサラリといった調子で言われたのだ。
なるほど自立とはこういうことか。

積み重ねた知識と経験が役立つ時が来たと思っている。

2013年5月21日火曜日

風曜日奮闘記その(6)「夢は摩周湖のほとりから」


資金調達作戦(5)最終段階 ~1998年

 1998年2月北海道拓殖銀行が破綻したニュースが流れました。その前にも山一證が・・。バブル崩壊の始まりです。
 「マァ、世の中はこんなもんだろう」「五十路近くにもなった男が何を今更チャンチキオケサ!」「このままサラリーマン続けるンだもん!」。ほとんどヤケクソ状態がつづきました。

 ところが、ところがです。奇跡が起こりました。神様は見捨てなかったのです。
 人生舞台が360°ぐるりと回り、世の中の風景が一変したのです。
 仕事を終え、家に帰るといつも冷静な妻が興奮気味に「あなた、北海道庁から一度来て欲しいんですって、さっき連絡が入ったばかり」と告げられたのです。
 「うそでしょう」と答えると、妻の真剣な顔を見て「本当かもしれない⇒本当だったら嬉しいな⇒いや本当に違いない」と私の脳の神経伝達回路が段階を踏んで本気モードに変わっていったのです。

 1998年4月30日、ここは北海道庁保健福祉部の会議室。
ずらりと並ぶ行政官に向かって、私と妻の北海道観光が取り組むべき将来観光についてのプレゼンがはじまりました。(プレゼンといっても考えていることをしゃべっただけですが・・)
プレゼンを終え、その日に福祉のまちづくり資金からの融資が決まりました。
人生舞台360°転換
しかも1億円。融資最大枠の金額です。夢が実現に向けて大きく動いた瞬間です。
 


    ・・・・どうしてだ! ですって?

 福祉的な配慮がなされた公共的施設には支援しょうという制度(福祉のまちづくり条例)が施行され、観光に福祉の視点を入れた取り組みがたまたま注目されたのです。
 しかしまた難関が現れました。下記の三つの条件が提示されたのです。

① 法人格を持っていること
② その事業に三年以上の就業経験があること
③ 年度内にホテルを完成させること

これどうする???  アーッ1億円。

・・・つづく

2013年5月15日水曜日

風曜日奮闘記その(5)「夢は摩周湖のほとりから」


資金調達作戦(4)~1998年

 東京丸の内にある公庫ビルの前、その大きさに早くも圧倒されそう。
 公的な金融機関であれば公益性のある事業に対してなにかしらの支援を得られるかもしれない、と考えて訪ねることにしたのです。

 国民金融公庫融資相談受付の窓口。
17年前の面影はどこにもありません。
 もっさり感漂う定年もうすぐの係官が現れ、血も涙もない言葉を浴びせられました。
通常、障がい者が旅行にでかけて宿泊するなんて考えられない。従って単なる宿泊施設ではない。かといって福祉施設でもない。 
 これはどの業種に当てはまるのか、○△省の××局に行き、業種を確定してから来てくれ。
 それを聞いて唖然、次の言葉が出てこずモゴモゴしていと更に追い討ちをかける様に
この手の融資は各都道府県の許可事業。北海道でやるなら現地の公社に行ってくれ。住所はここです。
といって札幌市街の地図をコピーして渡されたのです。その場所には親切にも赤エンピツで印がつけられていました。
 これはどう考えるべきか。神様が与えた試練か。だとするとあまりにもふざけた試練ではないか。 何が国民公庫だ!!(怒)

 それでもめげず、諦めず、○△財団を訪問することにいたしました。そこはボランティア活動を積極的に支援している団体だからです。
 事業計画書の内容を少しかえ、タイトルは「福祉の視点を取り入れたホテルビジネスの展開」としました。若い担当者2名を前に高齢化社会を迎え障がい者でも泊まれる宿泊施設の必要性を説明。すると、ものすごく感度がいいのです。
 資料をいろいろ見せてもらい何とか話しが進みそうになったと思いきや、
 「ところで三木さん、なんという法人名ですか?」
 「ハァ、法人名って? 法人ではなく個人なんですが・・」と答えると、申し訳なさそうに
「うちは個人では受付できません。法人格を持っていないと、株式会社とか有限会社とか・・・」

 するかどうかも判らない再訪問を約束して財団を後にした次第です。

 「ア~ッ、越えねばならぬ山がまた幾つも。道はだんだん遠くなるばかり。いっそサラリーマン続けるかッ! 定年まで・・・」

2013年5月8日水曜日

春の淡雪・・じゃなかった。

5月も中頃ですが何とした事でしょう。
本州(こちらでは内地とも表現します)では桜が終わってそろそろ真夏日の到来といったところでしょうか。

これから雪かき、楽しい雪かき。ホテルの玄関に積もった雪をどけなければ外に出られないほど楽しい雪かきです。

いつもでしたら、桜の満開は5月20日ごろです。が今年は5月末ごろになるのではないかと近くに住むの古老が語ってくれました。

日本一遅いお花見なんぞはいががですか。
雪見酒となるかも・・・。

2013年5月7日火曜日

お客様から背中をおされました。

GWも終わったというのに、何としたことでしょう。
季節が3月下旬に戻ってしまいました。
そんな中、お客さまから2つの電話をいただきました。いずれも車イス利用の方です。
「今、苫小牧に着いたが、日勝峠が雪で越えられない。どうしても風曜日に泊まりたいので到着は遅くなってもいいか。夕食はキャンセルする」とのことです。
九州からの1人旅の方で、タイヤは夏タイヤのこと。こんな天候です。普通だったら宿泊そのものがキャンセルになっても不思議ではないと思うのですが・・。
更に、
「7~8年前、新婚旅行で宿泊した。今回は結婚記念日に宿泊したい。部屋は空いているか?」
との問い合わせです。
当館のことを忘れずに、しかも結婚記念日に合わせて宿泊をいただけれなんてウソみたい。

こんなお客様からの電話が、私達の背中を押してくれるのです

2013年5月4日土曜日

風曜日奮闘記その(4)「夢は摩周湖のほとりから」


資金調達作戦(3)~1998年

 新聞やテレビでは貸し渋り、貸しはがし、といった単語が毎日のように目に飛び込んできます。
 民間銀行へのアタックはどこも似たり寄ったりの状況でした。
 「なんで北海道なの!人が集まりますか?都会に近い長野ではダメなの?」(当時、長野で冬季パラリンピック開催が予定されていたのです)
 「趣旨は判るが、ちょっとねーッ! これがバブル時だったらなんとか・・」
1998年3月5日
長野パラリンピック開催
 「かなり難しい経営ですね。三木さんみたいなサラリーマンが本当に経営していけるのですか?」
ざっとこんなもんです。

 その中でも、親切にアドバイスしてくれた銀行がありました。
 「この事業は社会福祉法人を狙った方がいいですね。税金もかなり軽減されますよ」
 「社会福祉法人ってどうやって作るの?」
 早速、書店に飛び込み購入したのが「社会福祉法人への取り組み」というタイトルの本。

 結論
 申請書類の一覧表を見て諦めました。とてもじゃないが私1人で申請できる代物ではなかったのです。

 ひよっとしたらあのアドバイスは断り文句か!!   2500円返してくれ!!
                                        

 なんか私の性格、悪くなりそう・・・・。

 つづく・・