2014年3月8日土曜日

風曜日奮闘記その18 「夢は摩周湖のほとりから」


驚天動地 3  事件勃発

その名も「チョット・チョット事件」

たまたま妻が不在中の時のことです。
夫「車いすたま障」ご夫婦の宿泊がありました。奥さんからは事前に「車から車いすへの移乗をチョットだけ手伝って欲しい」との要望をいただきました。
「チョットだけならいいんじゃないの」と、軽い気持でお受けしたのです。

夕方、予定より早めに到着。移乗をチョットだけ手伝うつもりで迎えに出ると、旦那さんの体が硬直して車から降りられないではないですか。長時間同じ姿勢を保ったためと思われます。奥さんが旦那さんの体をさすりながら「チョットだけ一緒に手足をさすって欲しいの」と、いわれました。
「チョットだけなら」と、手足をさすっていると、硬直が和らぎどうにか部屋まで案内することができるようになったのです。
 
横になって休ませたいとの要望で、車いすからベッドへの移乗をチョットだけお手伝し、事務所で一休みしていると、奥さんから電話がはいりました。
「この風呂には入れないワ」「タオルで拭くだけで我慢するワ。家でもそうなの」と、いかにも残念そうに小さな声でいわれるのです。
理由を尋ねると、浴槽が高くて旦那さんを持ち上げられないとのこと。
移乗台の利用やシャワーキャリー使用など、当館が用意している介護用具を紹介しましたが、結局、女性一人の力では無理との返事です。

奥さんが疲れているのが良く判ります。「たま障」の旦那さんも同様です。
リフト装備の家族風呂
室内の風呂がだめならリフト付きの家族風呂を見てもらうことにいたしました。
すると、一目見た奥さんの顔色が変わり、確信を持った声で「アッ!チョットだけ手伝ってもらえれば、入れるかも知れない!!」といわれたのです。
奥さんからの熱い視線が注がれているのを感じます。
そこまでいわれて、とても「出来ません」と答えられるものではありません。
結局、チョットだけ手伝うことになりました。

ベッドからシャワーキャリーに移乗し、風呂場まで・・。
服を脱がせ、オムツを取り外し、浴槽まで・・。
肩まで浸かれるようにとリフトの操作を行い・・・、悪戦苦闘。
妻の顔が目に浮かびます。こんな時に何で居ないんダ・・!!

肩まで浸かっている旦那さんを見て、奥さんが嬉しそうに、
「ホラ見て。左足がピクピク動いているワ。嬉しいときの合図よ。よっぽど気持ちいいんでしょうね」「20年ぶりだろうかね、こうして肩まで浸かれるのは・・」

床ずれの跡も痛ましく、背中の赤白黒のまだら模様。オムツ取り外しの姿が今でも目に浮かぶます。

初めての、そしていきなりの経験。私にとってはものすごい衝撃、まさに事件です。

それでも、なんとか無事に難局を乗り切ると「私のできることはやった。喜んでもらった!」という達成感みたいな満足感みたいな、サラリーマン時代には味わった事のない気持の高揚を覚えたのです。

チヨット待てよ!
たまたま問題が発生しなかっただけで、事故でもあったら責任とれるのか?
でも、お客様の要望に「できる、できない」の線引きなんか、その場でできないよな?
もし、こんな事が度々起こるようだったら、それは想定外。
どうすりゃいいんだ?

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